鍛造品

「鍛造品」の特性や加工工法

「鍛造品」と聞くと、何度も叩いて鍛え抜かれた日本刀を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。現代の生活ではあまり馴染みがないようにも思える鍛造品ですが、じつは日常の中でさまざまな機械の部品などに使われているのです。この記事では、鍛造品とはどんなものなのか歴史を踏まえながら解説します。また、鍛造品ならではのメリットや鋳造品と鍛造品の違いを詳しくご紹介します。

鍛造品とはどんなもの?

鍛造品とは、金属を何度も叩いて圧力を加えることによって強度を高めながら形状を整えたもののことをいいます。「鍛」という漢字は「鍛える」と読めますが、その通り金属を叩いて鍛えることによって金属内部にある隙間をなくし、微細化した結晶が均一に並ぶことによって金属の強度を底上げしているのです。

鍛造品は高い強度が必要な製品に多く用いられています。代表的なものでは、摩擦に耐える必要のある自動車のクランク軸やギヤ、タイヤホイールといった部品や、高い安全性が求められる航空機のジェットエンジン部品などです。身の回りのものでいえば、あらゆる食材を切るための包丁やDIYに欠かせないペンチも鍛造品が利用されています。

日本で鍛造品が作られるようになったのは、約1,700年前となる弥生時代のことです。農工具や狩猟具、武器などに利用するために、長年にわたって鍛造の技術が磨かれてきました。その後、切れ味の鋭い日本刀で日本の鍛造技術の高さが世界中に知られることとなります。現在でも鍛造品のひとつである日本の包丁は丈夫でよく切れると、世界中の人々から人気を集めています。

鍛造品ならではのメリットとは?

高い強度が期待できる鍛造品ですが、鍛造品を選ぶことによってどのようなメリットがあるのでしょうか。鍛造品ならではの5つのメリットについてご紹介します。

材料を節約できる

金属を切削して加工する場合と比較して、叩いて成形していく鍛造品は無駄にする材料がほとんどないため、圧倒的に材料が少なくて済みます。そのため、大幅に材料代を節約できるのです。

内部欠陥がない

鍛造品は何度も叩いて金属内部の組織を密にしていきます。そのため、内部に空洞などの欠陥が生じることがありません。また、箇所によって強度に差がつくこともありません。

切削作業を省略できる

金属を切削した場合、そこからさらに形を整えるために何段階かに分けた切削作業が必要となります。一方で、鍛造品は鍛造の過程で最終形に近い形状にまで整えるので、その後の切削作業を省略することが可能です。

強度が向上する

鍛造品は金属を叩いて鍛えることによって金属内部にある隙間をなくして、微細化した結晶を均一に並ばせて強度を向上させています。硬さという意味での物理的な強度はもちろんのこと、引っ張った時に強度が高いのを感じられることでしょう。

製品の形状に合った鍛流線が得られる

「鍛流線」とは、金属内部の組織がどのように並んでいるのかを表す線のことです。製品の形状や使用目的に応じて鍛造することによって望み通りの鍛流線を得られるので、より強度の高い製品を作り出すことが可能になります。

まったくの別物です!鍛造品と鋳造品の違いとは

「鍛造品」と「鋳造品」とでは漢字が似ているので、よく似ているものなのではないかと思う方がいますが、まったくの別物です。それぞれどのように違うのかご紹介します。

鍛造品

鍛造品は金属を叩いて鍛えることによって金属内部にある隙間をなくし、微細化した結晶を均一に並べて金属の強度を向上させたものです。部品の形状や大きさによるものの、鋳型に流し込んで出来上がる鋳造品よりも手間がかかる分、コストは高くなります。

鋳造品

鋳造品とは、高温で溶かした金属を型に流し込んで作り出したものです。鋳型さえ作れば、複雑な形状のものでも比較的簡単に作成できます。部品の形状や大きさによるものの、叩いて鍛える作業が必要となる鍛造品よりも低いコストとなることがほとんどです。

まとめ

鍛造品とは、金属を何度も叩いて圧力を加えることによって強度を高めながら形状を整えて出来上がったもののことです。鍛造品のメリットは材料を節約できるだけでなく、内部欠陥がないことや切削作業を省略できること、製品の形状に合った鍛流線を得られることです。鋳造品は鍛造品と似たものだと誤解されますが、鋳造品とは高温で溶かした金属を型に流し込んで作り出したもので、鍛造品とはまったくの別物になります。

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