「銅」の特性と加工方法

美しい光沢があるブロンドの銅といえば、十円玉や銅メダルを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ただし、銅は柔らかい性質を持つので、銅メダルにはスズが加えられた銅合金が使用されています。銅には熱伝導率や通電性の高さだけでなく、私たちの生活を支える注目すべきさまざまな特性があるのです。そこで、この記事では銅の特性と種類について徹底解説します。

銅の特性とは?

銅そのものは柔らかくて加工しやすいものの、熱に弱いという性質を持ちます。銅は電線やエアコンなどの熱交換器以外に、私たちに身近なスマートフォンやパソコン、タブレットなどの電子機器の基盤部分にも利用されています。私たちの生活に欠かせない銅について理解を深めるために、7つの特性をよく知っておきましょう。

熱伝導率が高い

熱伝導率が高い金属としてアルミを思い浮かべる方は多いでしょうが、銅はアルミよりも高い熱伝導率を持っています。和食の料理人が銅でできた玉子焼き器を愛用しているのは、卵という繊細な火入れが必要不可欠である食材を扱うのに欠かせないからです。また、フランス料理のシェフも同じ理由から銅でできたフライパンなどの調理器具を愛用しています。銅は熱伝導率が高いのに熱に弱いため、熱伝導率を活かす際には他の金属が加えられることがほとんどです。

通電性が高い

銅は銀に続いて通電性が非常に高い金属なので、性能に関わる電子機器の基盤部分に利用されています。また、電線にも広く利用されています。

磁場の影響を受けない

銅は完全非磁性を持ち、磁場の影響を受けないどころか磁石をくっつけてもまったく磁性を帯びることがありません。少しでも磁気が加わると制御できなくなるような場面では、銅が用いられた測定器が役立っています。

耐食性が高い

銅でできた十円玉は表面にさびの一種である不導体被膜が生じることがありますが、お酢で拭き取るとすぐにきれいな面が現れます。このように錆びの一種は内部を保護するためのもので、銅は耐食性が高いことが分かります。実際、全国各地の遺跡で発掘された大昔の青銅器が、当時の様子をイメージできるほど良い状態であることは珍しくありません。

殺菌作用がある

銅イオンには、ノロウイルスやO-157といった細菌類を死滅させる微量金属作用があることが認められています。感染症対策が重要視される今、この銅の殺菌作用に注目が集まっていて、ドアノブなど多くの人が接触する必要がある部分に銅を採用する動きが高まっています。

見た目が美しい

銅には独特の光沢と美しい色合いがあります。ただ、他の金属よりも高価なため、見た目と価格のバランスを取るのが難しく、大部分に銅が採用されている製品が少ないのが現状です。

加工しやすい

銅は柔らかいため、切削加工しやすいという特徴を持っています。ただ、熱に弱い性質を持つので、加工の際には熱が出ないように抑制する技術が必要となります。

銅の種類とは?

銅はさまざまな部品に利用されていますが、銅を加工する際には「純銅」もしくは「銅合金」のどちらかを利用することとなります。ここまでご紹介した銅本来の特性を受け継いだ純銅と、銅の弱点を補うことのできる銅合金ではどのような違いがあるのか解説します。

純銅

純銅とは、その名の通りきわめて純度が高い銅のことをいいます。純銅には耐食性や対候性に優れた「タフピッチ銅」や、加工性に優れた「リン脱酸銅」、高純度で幅広く利用されている「無酸素銅」などがあります。

銅合金

銅合金とは、銅を主原料にしながら他の金属が加えられたもののことです。銅合金にはベリリウムを加えて耐摩耗性や耐食性を高めた「ベリリウム銅」や、クロムを加えて通電性をさらに高めた「クロム銅」、タングステンを加えて機械的負荷と熱負荷を強化した「銅タングステン」などがあります。

銅タングステンについてはタングステンが7~8割、残りの2~3割が銅となり、電極材などの接点材料に使用されています。銅合金は純銅の弱点が補われているので、純銅よりもあらゆる用途に使用することが可能です。

まとめ

銅には、高い熱伝導率や通電性があります。他にも磁場の影響を受けない、耐食性が高いなど加工する上で重要となる特性を持っています。最近では銅が持つ殺菌作用に注目が集まり、新たな製品が開発されているのです。

銅は純銅と銅合金の2つに大きく分けられ、他の金属が加えられた銅合金は銅の柔らかさといった弱点を補えるので、あらゆる用途に使用されています。

「株式会社ISS西川機械」は、静岡県浜松市にある金属加工を行っている会社です。大型部品や丸物加工を行う立形旋盤加工を得意とする一方で、弊社の高い技術を駆使して半導体や工作機械、船舶用エンジンも製作しております。銅はもちろんその他の金属の加工も承っておりますので、単品・試作から小ロット品までご用命ください。皆様のお問い合わせをお待ちしております。