ステンレス

「ステンレス」の特性と加工方法

錆びに強いことで優秀な金属といわれるステンレスは、「SUS」(サス)という名称があります。主成分である鉄を50%含む合金で、鉄の他には、クロムを10.5%以上、低炭素を1.2%以下含んでいます。元々は錆びやすく、耐熱性の弱い鉄素材のデメリットをカバーするために製造されました。そんなステンレスの特徴や加工性、注意点を説明します。

ステンレスの特徴

まずは、ステンレスの特徴について、錆びにくさ、耐熱性・耐低温性・強度で説明します。また、種類による特徴も挙げてみましょう。

錆びにくい

ステンレスの錆びにくさは、金属界の中では一番と言われています。その理由は、鉄にクロムが混ざっているため、不動態被膜という膜が作られるからです。この膜が酸化被膜となり表面を覆うので、錆びから守られます。

また、この酸化被膜は、ニッケルが含まれているので密着性があります。たとえ傷がついても、新しい膜がすぐに形成されるようになっています。

耐熱性・耐低温性・強度が抜きんでている

ステンレスは耐熱性に優れています。ただし、耐熱温度は種類によって異なり、SUS304ですと、700~800°Cくらいです。その場合、300°C以上になれば色が変わることもあります。

耐低温性もあります。オーステナイト系ステンレスは、極低温にも強く、温度が下がれば下がるほど、強度や耐力が発揮されます。-196°Cにも耐えられる優れものです。

さらに、ステンレスは鉄同様かそれ以上の強度です。種類によっては、焼き入れを行うことで、より硬度が強化されます。鉄に炭素を加えて作られていることがその理由と考えられています。

種類がある

ステンレスは、大きく分けて3種類あります。マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系です。

マルテンサイト系は硬度、強度、耐熱性がメリット、フェライト系は加工性や耐熱性の高さ、価格の安さが特長です。また、オーステナイト系は、加工性や耐食性において優秀です。

ステンレス加工の種類

ステンレス加工は、切断加工、曲げ加工、溶接加工、切削加工という種類があります。それぞれの特徴についてお伝えします。

テクニックが必要な切断加工

シャーリングマシン、タレットパンチといった機械で行う切断加工は、テクニックが必要です。硬度のあるステンレスを求められている大きさや寸法にカットするのは、容易なことではありません。

切断後にすべき工程もあるので、高速かつ高精度で加工する必要があります。スピードを重視するために、レーザー切断機を利用する工場も多くなっています。

伸びやすさやスプリングバックを考慮して行う曲げ加工

曲げ加工は、ステンレスの特性である伸びやすさのみでなく、スプリングバックも考慮します。

スプリングバックは、曲げた後に形が少々元に戻る現象です。その対策として以下のことを行います。
・曲げたい部分をへこませてスプリングバックが起こりにくくする。
・何回かに分けて曲げ加工を行う。

種類によりやり方が異なる溶接加工

ステンレスの溶接加工は、その種類によって加工法が異なります。薄めの板厚溶接場合は、TIG溶接を行います。しかし、中厚板、厚板のケースですと、専門性が求められるので、ステンレス鋼溶接技術者のテクニックが必要です。

さまざまな形にする切削加工

切削加工は、穴をあける、溝を作るなどして、ステンレスをさまざまな形に変えます。しかし、ステンレスは難削材です。切削により加工硬化になったり、ゆがみができたりするので要注意です。

また、旋盤、ボール盤、マシニングセンタといった機械を必要に応じて使い分けなければなりません。こうした判断は技術者のテクニックや経験によります。さらに、素材の剛性、熱変性の影響も受けやすいことも注意が必要です。

ステンレスの注意点

優れた金属であるステンレスですが、注意点もあります。錆びるケースがあること、曲げ加工で硬くなることです。

ケースバイケースで錆びることがある

ステンレスは錆びにくい金属ですが、錆びることもあるので注意しましょう。たとえば、表面に鉄がついたままになっていると、鉄が錆びることで、一緒にステンレスも錆びてしまうことがあります。また、汚れていたり、水がついていたりするだけでも、錆びやすくなります。その他、塩の付着も錆びの原因です。ステンレス容器に塩分が多く含まれ物を入れない方が良いでしょう。

曲げ加工で硬くなる

ステンレスは曲げ加工で硬くなるので気を付けておきましょう。たとえば、断金部品をステンレスで製造するケースです。曲げ加工を行っていると、だんだん硬くなってきます。加工硬化によるものと考えられますが、n値が鋼板のおよそ2倍になる場合は要注意です。再加工はせずに、一回目で加工を成功させる必要があります。

まとめ

ステンレスは、錆びにくい、耐熱性・耐低温性・強度に優れている、種類があるなどの特徴があります。また、切断加工、曲げ加工、溶接加工、切削加工という加工ができます。そんなステンレスですが、表面に鉄や塩がついていると錆びることがあるので注意が必要です。また、曲げ加工で硬くなるケースもあります。

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