一円玉やアルミ缶、アルミホイルなど私たちの身の回りのものに多く利用されているアルミは、金属の中でも身近な存在なのではないでしょうか。辺りを見渡してみると、軽くてさびにくく、無害で食品を扱うこともできるアルミは想像以上にさまざまな場面で利用されていることが分かります。この記事では、軽量化実現に役立つアルミの特性について詳しく解説します。
軽量化を実現するアルミが注目されている
アルミとは、酸化アルミニウムを多く含む「ボーキサイト」という赤褐色をした鉱石から精錬されたものです。このボーキサイトの中から酸化アルミニウムを抽出した後に電気分解すると、純粋なアルミだけを取り出せるのです。
取り出したアルミは軽くて加工性に優れた性質を持っているので、圧延や鋳造などさまざまな加工法を用いてあらゆる製品の素材へと成形されることとなります。ただし、純粋なアルミは非常に柔らかいので、他の金属を加えて強度を高めて利用されることがほとんどです。
近年、スマホに代表されるように多くの機器でより軽量化を図るニーズが高まっています。アルミはその軽さと高い加工性があることから、軽量化を実現できる金属として大きな注目が集まっているのです。
アルミの特性とは？
多くの機器の軽量化を実現するための金属として欠かせないアルミですが、加工する上で知っておきたい特性が7つあります。アルミの持つ特性を十分に理解して、製品作りに活かしていきましょう。
比重が軽い
一円玉が他の硬化よりも圧倒的に軽いように、アルミが鉄や銅などの他の金属と比較して軽いことは体感的にご存じでしょう。比重においても、アルミは圧倒的に軽いという特性を持っていることをご存知でしょうか。アルミの比重は2.7となっており、7.8ある鉄や8.9ある銅の約3分の1しかありません。
飛行機は数多くの部品が組み合わされて作られていますが、その部品の一部を比重の重いものから軽いものに交換すると、その分飛行機を軽量化することに成功します。軽量化によって機体への負担が軽減されて、飛行性能の向上や使用する燃費の削減が期待できるのです。
耐食性が高くさびにくい
アルミは耐食性に優れており、さびにくいということも特徴です。空気に触れたアルミは自然と表面に酸化被膜を形成するので、赤さびが浮かぶこともなければ、腐食が起こることもめったにありません。
さびない部品を取り入れるとは、長期間にわたって性能を維持できるだけでなく、見た目も美しく保つことに繋がります。とくに水に直接触れたり湿度の高い場所で利用されたりする海洋開発の場面では、耐食性に優れたアルミが重宝されています。
通電性が高い
幼少期の理科の授業でアルミホイルを使った通電実験をした方は多いでしょうが、アルミには高い通電性があり、送電線や配電線に多く利用されています。アルミは銅の6割程度の電気伝導率しかないものの、比重は銅の3分の1となるため、実際は銅よりも2倍の電流を流せるのです。
熱伝導率が高い
アルミホイルに包んだ芋を焼いた経験がある方はご存知の通り、アルミには高い熱伝導率が備わっています。その熱伝導率は鉄の約3倍ですが、熱しやすいだけでなく冷めやすいという性質も持ち合わせているのです。
熱がこもったままになると影響が大きくなる部品もアルミなら対応できるので、エンジンパーツや放熱フィン、熱交換器などに広く利用されています。
磁場の影響を受けない
アルミは非磁性体なので、磁場が生じても影響を受けることはありません。そのため、電子医療機器や計測機器などに多く利用されています。
鋳造性が高い
鉄鋳物は高い温度で鉄を溶かす必要がありますが、アルミはその半分の温度で鋳造することが可能です。また、複雑な形状の鋳物を作ることにも適しています。
毒性がない
アルミ缶やアルミホイルが食品の包装に利用されていることで明らかなように、アルミには毒性がありません。無味・無臭のアルミは味や匂いにも影響を与えることがないので、食品以外にも医薬品の包装や医療機器にも多く利用されています。
まとめ
アルミとはボーキサイトに含まれる酸化アルミニウムを抽出した後に電気分解して取り出したもので、私たちの生活を支えているさまざまな機器の軽量化実現のために欠かせない金属です。
アルミの特性として7つをご紹介しましたが、比重が軽くて耐食性や通電性、熱伝導率の高い加工しやすいアルミは、さまざまな用途で利用されていることをお分かりいただけたでしょう。アルミは、私たちの生活を支えている非常に重要な金属のひとつだといえるのです。
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