型に高温で溶かした金属を流し込んで冷え固め、パーツを作り出す鋳物は知れば知るほど奥深いものです。鋳物は、私たちの日常生活を支える機械などの部品などにも使われており、重要な役割を果たしています。この記事では、鋳物とはどんなものかから始まり、鋳物の製造方法や型の材質によって作られる形状が変わることについて詳しく解説しています。
鋳物とは？
鋳物とは型に高温で溶かした金属を流し込んで冷え固め、パーツを作り出したもののことをいいます。金属を流し込んでできた鋳物には継ぎ接ぎがないので、複雑な形状のものでもひと繋ぎに仕上がり、強度が高いのが特徴です。鋳物を作る作業のことは「鋳造」と呼ばれます。
鋳物で作られたパーツは自動車や航空機といった輸送機器だけでなく、産業機器や医療機器、家電に至るまでさまざまな製品に組み込まれています。普段は意識することが少ないかもしれませんが、鋳物は私たちの身の回りの製品に多く使用されており、見えないところで生活を支えてくれているのです。
鋳物の製造方法とは？
型に金属を流し込んで作る鋳物ですが、具体的にはどのようにして作られるのかご存知でしょうか。使用する材料によって少しずつ違う部分はありますが、もっともスタンダードな鋳物の製造方法について順を追ってご紹介します。
作りたい形状の型を作る
まずは鋳物で作りたい形状を作っていきます。木材や発泡スチロール、ロウなどで形状を作りますが、この形状のことを「型」と呼びます。この型をもとに鋳型を作るので、仕上がりを左右するもっとも基本的かつ大切な作業です。
鋳型を取る
次に、型の周囲に砂を敷き詰めてから熱を加えたり、圧力をかけたりして砂を固めていきます。砂が固まったら型だけを取り出し、残った方を利用します。型が取り除かれて作りたい形状が写し取られたものが「鋳型」となるため、鋳型が崩れないように慎重に型を取り出さなくてはなりません。
鋳型に溶かした金属を流し込む
鋳型に高温で溶かした金属を流し込み、冷えて固まってようやく鋳物が出来上がることとなります。しかし、金属が冷えて固まる際に流し込んだ金属が均等な厚みにならずにムラができると、温度差が生じて穴が空いたようになってしまうのです。熟練の鋳物職人は長年の経験に基づいた確かな技術によって、均等な厚さに金属を流し込み温度差が生じないようにしています。
鋳物の型の材質次第で作られる形状が変わる
さまざまな形状の鋳物を見たことがある方は多いでしょうが、型に使用する材質によっては鋳物として作られる形状に制限があります。型の材質によって作れるものが変わってくるため、注意点について詳しくご紹介します。
木の場合
型が木の場合、鋳型を二つに割れる形状のものでなければ作られません。なぜなら、型を取り出す際に砂を固めてできた鋳型からきれいに型を取り出せなければ、鋳物が作れないからです。
鋳型を二つに割って型を取り出してから鋳型だけを再度くっつけるため、二つに割れる形状でないとその後、鋳型を利用できないのです。
木の場合、型の形状に制限はあるものの型を何度も利用できます。そのため、形状を工夫する必要はあるものの量産したい時だけでなくコストを抑えたい時には木を利用するのがおすすめです。
発泡スチロールやロウの場合
型が発泡スチロールやロウの場合は、形状の制限がなくなります。なぜなら、発泡スチロールは高温で溶かした金属を流し込むと溶けてしまいますし、ロウは温めると液体になるため隙間から流して取り出すことが可能だからです。
ただし、型が木の場合はその木の型を再利用して量産できる一方で、発泡スチロールやロウだと鋳物を作るたびに溶けてなくなってしまうため、量産するのが難しくなります。とくにロウは、型を作るためにさらに金型が必要になります。比較的コストが高くつく傾向にあるため注意しておきましょう。
まとめ
鋳物とは型に高温で溶かした金属を流し込んで冷え固め、作り出したパーツのことです。鋳物を作る作業のことは鋳造と呼ばれます。
鋳物の製造方法はまず作りたい形状の型を作るところから始まります。次に型を元に鋳型を取り、最後に鋳型に溶かした金属を流し込んで出来上がりです。
型の材質に何を選ぶかによって鋳物で作られる形状は変わり、型が木の場合は鋳型が二つに割れる形状である必要があります。一方で、型が発泡スチロールやロウの場合は形状の制限がなくなります。
静岡県浜松市にある「株式会社ISS西川機械」では、金属加工・機械加工が専門です。鋳物についてはアルミ・ステンレス以外に、お客様のご要望に応じてさまざまな材質の加工に対応させていただいております。熟練の技術を持った職人がいるのはもちろん、立形NC旋盤や高速円形マシニングセンター、横型マシニングセンターといった設備を取り揃えておりますので、高品質の製品のご提供をお約束いたします。是非お問い合わせください。