軽くて強いチタンは材質として高い人気があるものの、「加工が難しい」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではチタンの注目すべき特性や4つの加工方法について詳しく解説します。チタンの特性を正しく理解して加工する際に活かせるように、ぜひ最後までお読みください。
チタンの特性
チタンは軽くて強い性質を持ちますが、加工が難しいと思われがちです。そこで、チタンの特性を詳しく解説します。
変形抵抗が大きい
チタンは変形抵抗が大きい性質を持つので、加工しようとすると熱が発生しやすくなります。発生した加工熱が融着してしまうと、硬くて脆いチタン化合物が形成されてしまいます。
熱伝導が低い
チタンは熱伝導率が低いので、加工する際に工具とチタンの間の熱が逃げることなく蓄積してしまいます。そうすると工具との摩擦が大きくなり、工具が傷みやすくなります。切削加工を行う際には、チタン専用の工具を準備するようにしましょう。
金属活性が高い
チタンは金属活性が高いので、どうしても他の金属との親和力も強くなってしまいます。チタンと工具との間に生じた加工熱が化合物の生成や融着を生じさせる原因となるのです。
強度が高い
チタンは比重の割に引張強度が高いため、強度の面で最強クラスだといえます。その強度は鉄の約2倍、アルミの約6倍です。軽くて強いチタンですが、その強さゆえに加工しにくいといわれているのです。
比重が軽い
チタンの比重は、鉄やステンレスと比較すると6割程度しかないほど軽くなっています。他にも軽い金属はありますが、強くて耐食性も高いチタンの比重の軽さは、非常に優れた特性であるといえます。
融点が高い
チタンの融点は、約1,650℃と非常に高くなっています。しかも、500℃まではステンレスを上回る強度です。また、885℃に達すると金属内の結晶構造がさらに熱に強くなります。そのため、1,650℃に至るまでの高温環境下で物性を維持しようとする性質は注目すべきものです。
耐食性が高い
チタンはその表面に非常に安定した不導体被膜を形成しているので、耐食性が高い性質を持っています。とくに海水の中では、多くの金属がすぐにさび付いたり腐食が始まったりしてしまいます。しかし、チタンはもっともさびにくいといわれているプラチナと同じくらいの耐食性を示すのです。
人体に優しい
チタンの表面には非常に安定した不導体被膜が形成されています。そのため、金属イオンが溶け出す可能性は低く、金属アレルギーに敏感な方でも安心して利用できる金属のひとつです。時計やピアスといった肌に直接身に着けるアクセサリーはもちろんのこと、体に直接埋め込む人口骨や人工関節などにも利用されています。
しなりやすい
変形しにくいことを表すヤング率が低いチタンは、しなりやすい性質を持っています。このしなりやすさを利用して、小さな力から大きな飛距離へとエネルギーを変換できるゴルフクラブのヘッド部分や、大きなパワーへと変換するバネの製造に利用されています。
高価である
さまざまな金属がある中でも、チタンはとくに高価な金属として有名です。地殻にある金属資源としては、チタンは4番目に埋蔵量が多いといわれていますが、希少金属として位置づけられています。なぜなら、純粋なチタンを製造するためには何度も加工や精錬を繰り返す必要があり、1t製造するのに100万円以上かかるからです。
チタンの加工方法
チタンを加工する際には、その特性を理解しながら作業を進めることが求められます。さまざまな特性を持つチタンの加工方法は主に4つあるので、それぞれについてご紹介します。
切断
チタンを切断する際にはレーザーの光を照射してその熱を利用する「レーザー加工」や、材料と電極の間に放電を起こしてその熱を利用する「ワイヤーカット加工」といった直接触れることのない非接触加工を用います。
曲げ
チタンを曲げる際には圧力などを細かく調整する必要があるため、「プレス加工」や「密着曲げ」によって曲げられます。
溶接
チタンを溶接する際には、溶接部分を大気から遮断できるようにシールドガスを使用します。一般的には、電気を用いた「TIG溶接」を行います。
切削
チタンを切削する方法はさまざまですが、どの方法においても焼き付きが起こらないようにチタン専用の工具を用いる必要があります。
まとめ
チタンの持つ特性や加工方法についてご紹介しました。これらの特性を理解することによって加工が難しいと思われがちなチタンも加工できます。
静岡県浜松市にある「株式会社ISS西川機械」では、立形旋盤を中心にしながら各種機械加工や切削加工も行い、幅広い素材の加工を承っております。チタンのパーツについても弊社独自の技術力と設備を活かして、お客様のご要望にお応えする高品質の製品をご提供いたします。お問い合わせやご用命がございましたら、お気軽にご連絡ください。